August 31, 2005
子孫から借りたもの

インディアンの言葉だそうだが、地球博のフランス館でも一瞬この言葉が現れる。
僕らは将来、どんな風景を子孫に返すことになるのだろうか。ながい間循環していた自然を持続不能にしてしまった今、死ぬまでにどこまで回復させられるだろうか。
現在の住宅産業には、かつての風景を無残に壊した罪の意識も、子孫に対する責任感も、みじんも感じられない。自然を壊して家をつくるか、自然の循環の中で家をつくるか。それはまず作り手の心構えできまるが、住宅産業とよばれるところに身をおく大人たちはそんなこと全く知らないのだから。
少なくとも僕はインディアンの価値観を共有できる仲間と仕事がしたい。共有できる人のための家をつくりたい。子孫に胸をはれる風景をひとつひとつ造りたい。我々にはひとつひとつしか造ることができないが…。
昨日、報道ステーションの最後に、古館さんは日本の財政についてこう指摘した。
「我々は子どもから借金をしているということ」
僕らはいったいどれだけのものを子孫から借りているのか。